本当のブラックリストとは - 札幌の弁護士|前田尚一法律事務所
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「ブラックリストに載る」と言いますが,信用情報機関に「事故情報」が登録されることを指しています。信用情報機関において「事故情報」が登録されていると、金融機関から借入を行おうとしても借入ができないことや、クレジットカードが利用できなくなることがあります。機関によって,5年から10年間保存されているといわれています。ただし,各金融機関は事故データを自社で保有し,半永久的に保存している場合もあるようです。
民間信用情報機関とは,個人の借り入れ情報等の信用情報を収集している機関で,サラ金業者等を主要な会員とする「株式会社日本信用情報機構(JIC)」(旧日本情報センター。全国信用情報センター連合会(全情連)加盟33情報センターの信用情報事業を承継)、信販会社・クレジット会社を主要な会員とする「株式会社シー・アイ・シー(CIC)」(信販・クレジット系の旧CCBは,上記JICに合併。)、銀行を主要な会員とする「全国銀行個人情報信用センター(KSC)」の3つが主要なものです。
「事故情報」には、長期間の延滞があること、支払いがないため保証会社等が代位弁済したこと、破産・民事再生の手続がとられたこと等があります。
信用情報機関に対し,現在の自分の登録信用情報を確認することが可能です。開示手数料は個々の機関によって異なりますが、開示申込書等の必要書類に必要事項を記載した上で、本人確認書類を添付して開示請求をします。開示された個人信用情報に誤りがある場合には、訂正や削除を求めることも可能となっています。
ところで,「事故情報」は,サラ金業者やクレジット会社が,契約を守れなかった顧客を悪質なものとして取引から排除するために集約する業界情報ですので,過払い金の返還を求める顧客も不適切な取引先として事故情報の対象となる扱いとしていました。
しかし,過払い金返還請求は,利息制限法に基づく正当な請求です。
貸金業法改正を背景に,金融庁は,過払い金返還請求についての「事故情報」の取扱いを是正させる方向のようです。
2009年8月13日の日本経済新聞は,「過払い金返還請求の事実 信用情報に残さず 金融庁方針」という見出しで,《返還請求した利用者は,「当社の契約を守れなかった債務者」とみなされ,その後の借り入れが難しくなりがちだった。金融庁はこうした情報の消去を求める》などと報じています。
もっとも,日経新聞は,同時に《過払い金の返還請求が信用情報機関に記録としても残らなくなれば,借り入れができなくなるリスクを恐れていた利用者の請求が増える可能性もある。・・・・・・過払い金の返還請求が一段と増えれば,消費者金融の業績を一段と圧迫する可能性がある。》と,企業の立場からの分析を示しているところでもあり,今後の動向を気にしている暇はなく,過払い金の返還請求をするのであれば,急がなければならないといった予測も可能です。
なお,自ら借入等ができないよう信用情報を登録することも可能です。これを貸付自粛制度と言い、サラ金やクレジット会社等に借入の申し込みをした場合に、契約の締結ができないよう、自ら信用情報を予め登録することが可能です。
浪費癖があってサラ金などから借入を行って多重債務状況に陥ってしまいかねない親族がいる場合、その親族について貸付自粛制度に登録させ、多重債務状況に陥ることを予防することを検討してもいいかも知れません。
弁護士 前田 尚一(まえだ しょういち)
前田尚一法律事務所 代表
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、弁護士として30年を超える経験、実績を積んできました。
交通事故、離婚、相続、債務整理・過払い金請求といった個人の法律問題に加え、労務・労働事件、クレーム対応、債権回収、契約書ほか企業法務全般も取り扱っています。
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