特養ホーム内部告発訴訟 内部告発者に対する訴え提起の正当性 - 札幌の弁護士|前田尚一法律事務所
特養ホーム内部告発訴訟 内部告発者に対する訴え提起の正当性 - 札幌の弁護士|前田尚一法律事務所
当事務所が担当した事件について,札幌高裁が当方を敗訴させた部分を,最高裁は,上告受理して,札幌高裁判決を破棄したうえ,差し戻しました。
(北海道新聞平成21年10月23日夕刊その他の日刊紙、TVニュース)
事件の概要
裁判所WEB(http://www.courts.go.jp/)に登載
・判例検索システム検索結果詳細画面
・全文(PDF)
事件番号 平成20(受)1427
事件名 謝罪広告等請求本訴,慰謝料請求反訴事件
裁判年月日 平成21年10月23日
法廷名 最高裁判所第二小法廷
公刊物 最高裁判所裁判集民事232号127頁
裁判所時報1494号303頁
判例タイムズ1313号115頁
判例時報2063号6頁
【判示事項】
特別養護老人ホームの入所者に対して虐待行為が行われている旨の新聞記事が同施設の職員からの情報提供等を端緒として掲載されたことにつき,同施設を設置経営する法人が,複数の目撃供述等が存在していたにもかかわらず,虐待行為はなく上記の情報は虚偽であるとして同職員に対してした損害賠償請求訴訟の提起が,違法な行為とはいえないとされた事例
【判決要旨】
特別養護老人ホームの入所者に対して虐待行為が行われている旨の新聞記事が同施設の職員からの情報提供等を端緒として掲載されたことにつき,同施設を設置経営する法人が,虐待行為につき複数の目撃供述等が存在していたにもかかわらず,虐待行為はなく上記の情報は虚偽であるとして同職員に対し損害賠償請求訴訟を提起した場合であっても,①虐待行為をしたとされる職員が一貫してこれを否認していたこと,②情報提供者である職員の目撃状況についての報告内容につき同施設の施設長は矛盾点があると感じていたこと,③入所者の身体に暴行のこん跡があったとの確たる記録もなく,後に公表された市の調査結果においても個別の虐待事例については証拠等により特定するには至らなかったとされたことなど判示の事実関係の下においては,同訴訟の提起は違法な行為とはいえない。
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札幌高裁判決の判断は,上記【上告受理申立理由】で述べたとおり,裁判制度の長年の歩みの中で形成された,制殿原則として正当な行為である訴えの提起を敢えて不法行為を構成するかどうかを判断するにあたっては慎重な配慮をしなければならないという最高裁の考え方を無視するものであることに加え,最後の救済の砦でもある訴訟の現場における,裁判所,裁判官の在り方にも大きな問題があるものでした。
最高裁は,上告受理して,札幌高裁判決を破棄したうえ,差し戻しました。
最高裁が破棄した部分について,私が起案した上告受理申立理由は,次のとおりです。
⇒ 【上告受理申立理由】(「上告理由」:最高裁に重要とされた部分)
⇒ 【上告受理申立理由】(全文)
新聞,テレビ局で構成される司法クラブに求められて,私が起案したマスコミに公表したコメントは,次のとおりです。
⇒ 【マスコミに対するコメント】
ところで,新聞報道によると,被上告人が,札幌市内で記者会見し,同席した代理人弁護士が,「最高裁判決は過去の判例を機械的に当てはめたもの。提訴の適法性を個別具体的に判断してもらいたかった」と話したとのことです(平成21年10月24日北海道新聞朝刊)。
しかし,判決全文をご覧いただくと明らかなとおり,最高裁の判決は,どう見ても,個別具体的に判断しており,同代理人が何を言おうとしているのか,私には全く理解できません。
前田尚一公式サイト https://www.smaedalaw.com/ もどうぞ。
弁護士 前田 尚一(まえだ しょういち)
前田尚一法律事務所 代表
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、弁護士として30年を超える経験、実績を積んできました。
交通事故、離婚、相続、債務整理・過払い金請求といった個人の法律問題に加え、労務・労働事件、クレーム対応、債権回収、契約書ほか企業法務全般も取り扱っています。
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