「爆笑問題・太田さんの「裏口入学」記事、新潮社が敗訴」:世間がどのように捉えるか。名誉毀損訴訟の今 - 前田尚一法律事務所 | 札幌の弁護士なら「前田尚一(まえだしょういち)法律事務所」

「爆笑問題・太田さんの「裏口入学」記事、新潮社が敗訴」:世間がどのように捉えるか。名誉毀損訴訟の今 - 前田尚一法律事務所

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名誉毀損の条件は
社会的評価の低下から

 「爆笑問題・太田さんの「裏口入学」記事、新潮社が敗訴」 朝日新聞デジタル(2020年12月21日 10時25分)の記事の見出しです。

 名誉毀損の条件は社会的評価の低下から  雑誌,新聞,放送などマスメディアの名誉毀損は,とても関心の高い話題です。
 広い意味で考えると,マスメディアによる名誉毀損の話題も,マスメディアの中で公表されるうえ,マスメディアは,ウェブサイトを活用するのが通例ですので,受け取る側の読者,視聴者の印象が形成されていくプロセスは,複雑骨折のような枠組みで益々複雑になっていきます。

 そこで,法律的観点から,名誉毀損の紛争について整理してみましょう。  裁判所の判例では,「名誉」とは,人の品性,徳行,名声,信用等の人格的価値について社会から受ける客観的価値のことをいうとされています。つまり,それぞれの人が思う主観的な名誉感情は含まれないとされています。

 そして,「名誉毀損」とは,事実を摘示して社会的評価を低下させることをいうことになりますが,マスメディアによる名誉毀損の場合,低下したかどうかは,一般の読者又は視聴者の普通の注意と読み方を基準として判断されることになります。この判断が実際とても難しいことです。

名誉毀損訴訟の現場

 名誉毀損自体を考えるとき,それが真実であるかどうかは問われないのですが,公表された事実(正確には,「摘示事実」と呼ばれ,一定の限定がありますが,余りに専門的ですので,ここでは深入りしません。)が,公共の利害に関し,専ら公益を図る目的でなされた場合,マスメディア側は,その真実であることを証明するか,証明できなくとも,真実であると信じるについて相当な理由があるとき(つまり,相当な取材をしたとき)は,不法行為責任を免れることができます。

 このように整理すると一見簡単そうですが,実際に名誉毀損訴訟になって攻防が繰り広げられると,マスメディア側も看板があるので,熾烈な闘いになるのが通例です。
 マスメディア側は,迅速な報道とか,報道の自由とか,取材源の確保とか,報道機関に対する社会的要請とか理念的なことを持ち出しますが,一方には営利企業でもあり,また,個々の記者の功名心なども,報道と称する公表の重要な要因であり,訴訟の中で,いかがなものかという主張に遭遇することもあります。

 そして,真実であると信じるについて相当な理由があるとき,つまり,相当な取材をしたときという面では,そのような主張を見て,結構危ういものが少なくないというのが,訴訟という現場での印象です。

情報化社会の現実
忘れるニュース

 さて,冒頭で紹介した「裏口入学」記事事件,敗訴した新潮社側は,「記事の真実性を認めなかったのは大変遺憾。ただちに控訴し、さらに主張を深めて立証したい」とコメントを出したとのことであり,これからも目を離せませんね,との定番で締めくくりたいところです。

 しかし,ニュースはあっという間に忘れ去られるというのも現実です。理屈と現実のギャップは,普段意識しませんが,とても大きく,ある意味致命的な面もあると思います。


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