ペットにかかわる法律|自宅敷地で愛犬が訪ねてきたセールスマンに噛みついた - 札幌の弁護士|前田尚一法律事務所
ペットにかかわる法律|自宅敷地で愛犬が訪ねてきたセールスマンに噛みついた - 札幌の弁護士|前田尚一法律事務所
一軒家で夫と愛犬と一緒に、楽しく暮らしています。
先日、塀の内側で愛犬が訪ねてきたセールスマンにかみついてしまいました。セールスマンは、治療費のほか仕事を休んだ補償を要求してきました。
セールスマンは、勝手に私有地に入ってきたのですが、このような場合でも、損害賠償責任を負うのでしょうか。
(主婦、62歳)
ペットにかかわる法律としては、「動物の愛護及び管理に関する法律」があり、これを受けて、「犬及び猫の飼養及び保管に関する基準」(総理府告示)が定められています。
また、地方公共団体は独自に、いわゆる「ペット条例」を制定しており、例えば、札幌市には、「札幌市蓄犬取り締まり及び野犬掃とう条例」があります。
総理府告示は、放し飼いの防止、脱出防止、けい留(動物をつなぐこと)などについて定めていますが、自宅敷地外のことを念頭においているようで、ご相談のような敷地内のことについては明確ではありません。
しかし、社会生活をしている以上、他人が家を訪れるということは当然ありうることです。私有地であっても、塀の入り口から玄関までの通路など、他人も通行することが予測される場所については、居住者には、ペットが他人に危害を加えないようにする管理責任があると考えるべきでしょう。
訪問者の目的、訪問の仕方によっては、訪問者側の不注意などが問われ、過失を相殺して居住者側の責任が軽減されることがあるとしても、居住者の明確な了解がないというだけで、訪問者に対する居住者の責任がなくなるとまでは言えないと考えられます。
前述の法律は、昭和48年に制定されて以来「動物の保護及び管理に関する法律」という名称でしたが、平成11年に一部改正された際、法律名も前記のように改められたものです。ペットが「愛玩具」ではなく、家族の一員、人生の伴侶である(共生・共棲)との社会認識に対応したものとなりました。
一方で、人間と動物のより良い関係を作るためには、動物による人の安全侵害や迷惑行為の防止という点もますます重視されていく傾向にあります。
ただ、この種のトラブルは、一般的に、被害者の要求は過大となるし、加害者の回答は過少になるという傾向があり、解決が長期化する場合があります。
責任内容や賠償額は、個々のケースでさまざまであり、話をこじらせないためにも、まず専門家に相談することをお勧めします。
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弁護士 前田 尚一(まえだ しょういち)
前田尚一法律事務所 代表
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、弁護士として30年を超える経験、実績を積んできました。
交通事故、離婚、相続、債務整理・過払い金請求といった個人の法律問題に加え、労務・労働事件、クレーム対応、債権回収、契約書ほか企業法務全般も取り扱っています。
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