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C型肝炎ウィルス感染被害者の救済(給付金の支給を受ける手続)|札幌弁護士.com - 札幌の弁護士|前田尚一法律事務所

札幌弁護士.com  前田尚一法律事務所がお届けする『知っ得【法律】情報』-vol.20-

C型肝炎ウィルス感染被害者の救済(給付金の支給を受ける手続)について

FM局のAIR-G(80.4FM)の番組Vivid Couleur(ビビッド・クルール)
「ビビッドワールド法律カフェ」平成22年4月6日(火)ラジオ出演より
前田弁護士、インタビュアー:野宮さん

 

重要なのに余り知られていない法律問題の例を紹介していただけますか。

はい。お伝えしたいことは山ほどあります。  
例えば,一定のC型肝炎患者の方々について、症状に応じて,国から給付金が受けることができることになったのですが,この制度をご存じない方や,手続がむずかしくてできないとあきらめている方が多いようです。

C型肝炎というと,各地でC型肝炎訴訟を集団提起し、裁判内外で活動され,和解が成立したという事件がありました。  
その後,救済される制度もできていたのですか。

はい。  略称「薬害肝炎救済法」(*)という新しい法律が制定されました。
この新しい法律に基づいて,出産や手術での大量出血などの際に特定のフィブリノゲン製剤や血液凝固第Ⅸ因子製剤を投与されたことによってC型肝炎ウィルスに感染された方々を対象として,それぞれの症状に応じた給付金が支払われる仕組みができたのです。  
*正式名称「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済sるための給付金の支給に関する特別措置法」

支払われる給付金の額はどのくらいなのですか。

まず,慢性C型肝炎の方には,2000万円が支払われます。
 また,慢性C型肝炎の進行によって肝硬変・肝がんになってしまった方や,死亡された場合には,4000万円が支払われます。
 そして,無症候性キャリアの場合であっても1200万円の給付金が支給されます。 注意していただきたいのは,ご本人だけではなく,遺族の方にも支給されるということです。

国から給付金の支払を受ける手続はどのようになるのですか。

給付金の支給を受けるためには、まず、国を相手にした訴訟を提起し、裁判手続の中で、製剤投与の事実、因果関係、病状を裁判所に確認してもらうことが必要となります。

訴訟を提起し、裁判手続を進めていかなければならないということになると,素人には,簡単な手続とはいえないですね。
実際は弁護士に依頼しなければならないことになるでしょうか。

はい,必要な資料を集めたりしなければならないこともあり,簡単な手続とはいえないでしょう。  しかし,この仕組みを扱っている弁護士に依頼すれば,難しいことはありません。 しかも,新しい法律では,給付が認められた場合の弁護士費用については、一定の基準に従って、国や企業が負担することになっており,費用の面でも負担は少ないといえます。

裁判所で製剤投与の事実を確認してもらうということになれば,カルテなどの資料が十分に揃っていない場合には,あきらめなければならないのでしょうか。

カルテがあることを条件に受任している弁護士もいると聞いています。
しかし,私の事務所では,カルテがなくとも,やるだけやってみたいという方のお手伝いをしています。
というのは,そもそも,感染の原因となった製剤が投与されたのはもう20年も,30年も前のこともあり,カルテが処分されている場合があったり,既に病院自体がなくなってしまっていても不思議ではありません。
 新しい法律は,古い時代に投与された製剤による被害を救済しようとしてできたのですから,このような事態も想定しているはずです。 カルテがないからといって,すべて救済を受けることができないということであれば,法律が制定された意味がなくなってしまいます。

実際の裁判所ではどうなのでしょうか。

プライバシが重視される性格の事案ですので,公開されていない事案も多く,はっきりしない面もあります。
しかし,カルテがなくとも,証人の証言によって給付が受けることができるようになった事例も報道されています。
  依頼された弁護士,裁判所,国が,一緒に知恵を出し合い,良い結果を導いていく努力をしていかなければなりません。 すべて上手くいくなどというわけにはいきませんが,負担を最小限にする工夫をしながら,検討だけでも始め,まずはすこしずつ進めてみるという価値は十分あると思うのです。
 自分だけのダメだと決め付けてしまわず,まず弁護士と相談し,ご自身の状況を確認することは,とても大事なことだと思います。

先生のHPに,「法律」は,”法律を知っている者を味方する”ものであるとか,「弁護士」の仕事は,依頼者との協同作業であり,「法律問題」の処理・解決は,依頼者弁護士がうまく協働すればするほど良い方向へ向かう,という意味がわかったような気がします。

 

 

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弁護士 前田 尚一(まえだ しょういち)
前田尚一法律事務所 代表
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、弁護士として30年を超える経験、実績を積んできました。
交通事故、離婚、相続、債務整理・過払い金請求といった個人の法律問題に加え、労務・労働事件、クレーム対応、債権回収、契約書ほか企業法務全般も取り扱っています。



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