相続:相続法改正・怪しいネット情報に注意 - 札幌の弁護士|前田尚一法律事務所
相続:相続法改正・怪しいネット情報に注意 - 札幌の弁護士|前田尚一法律事務所
「シルバー世代を生き生きと暮らす元気生活のメソッド
―クラブ活動、生前整理、運動、相続」
暮らしと健康の月刊誌『ケア』2024年12月号
(北海道医療新聞社)
「終活」を法律的観点からお話する場合、「相続」の問題は避けて通れません。相続に関する法律としては「民法(相続法)」と「税法」が中心となります。
超高齢化の時代に対応するため、相続法全体を見直す大改正が2018年に行われました。 改正の骨子は▽配偶者居住権の創設▽婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の贈与等に関する優遇措置▽自筆証書遺言の方式緩和▽法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設(遺言書保管法の制定)▽預貯金の払戻し制度の創設▽遺留分制度の見直し▽特別の寄与の制度の創設――などで、そのすべてが既に施行されています。さらに、2021年の民法(相続法)改正では、寄与分・特別受益の主張に期間制限が設けられました。
税法絡みの改正は頻繁にありますが、最近の改正では、2024年以降の贈与から生前贈与加算が3年から7年に延長されることになり、実質的に相続税が増税となりました。
相続の税金対策については、ネット上にはとびつきたい情報があふれています。ただ、気を付けなければならならないのは、情報が誤っていたり、怪しい内容もまぎれていることです。そのような情報をうっかり正しいと思い込み、実践してしまうと、節税どころか、却って納税額が増えることになってしまうことにもなりかねず、注意しなければなりません。
例えば、生前贈与では「年110万円の基礎控除」が思い浮かびます。お子さんに財産を残したいと、お子さんの名義の預金口座を開設し、毎年110万円を預金しているというお母さんがいらっしゃいました。「非課税で相続できる生前贈与」とのネット記事を見て始めたものです。しかし、母親が印鑑と通帳を管理しているこのような形態の預金は、贈与契約とは認められず、「名義預金」として相続税の課税対象になりかねません。専門家ならば、すぐに分かります。もし、子どもがこの預金を申告せずにいると、税務署からペナルティを課されてしまう場合もあります。
冒頭の相続法の改正に乗じて、投資話を持ち掛ける悪質な業者もいます。このような話に誘引されるリスクを避けるには「民法(相続法)」や「税法」の基本的な考え方をきちんと理解しておかなければなりません。しかしながら、仕組み自体がとても複雑です。ですから具体的な相続に関する法律問題は、弁護士や税理士などの専門家に相談するのが最もよい〝終活戦略〟と言えるのではないでしょうか。
弁護士 前田 尚一(まえだ しょういち)
前田尚一法律事務所 代表
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、弁護士として30年を超える経験、実績を積んできました。
交通事故、離婚、相続、債務整理・過払い金請求といった個人の法律問題に加え、労務・労働事件、クレーム対応、債権回収、契約書ほか企業法務全般も取り扱っています。
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