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「働き方改革関連法」施行時期は? - 札幌の弁護士|前田尚一法律事務所

札幌弁護士.com  前田尚一法律事務所がお届けする『法律問題ピンポイントレッスン』ver2-vol.3

「働き方改革関連法」対策に関わる方へ

 

今回は,皆さんへの「注意喚起」です。 少々長くなりますが,

特に「働き方改革関連法」対策に関わらなければなら ない方は,必ず読んでください。

「必ず」です。

 

さて,2019年4月1日から働き方改革関連法が順次施行されています。

が,ご承知のとおり,中小企業については施行が猶予されている事項がいく つかあります。

 

一例を挙げると,中小企業の場合,時間外労働の上限規制の導入の施行は, 1年遅れの2020年4月1日からです。

 

ところが,こういった話をしていると,いつのまにか頭の中が混乱し,トン デモナイ誤解を起こしそうな事項があります。

一つ,重大事項がありますので,お伝えします。

ただ,あくまで,「お気を付け遊ばせ!!」という注意喚起のつもりでお伝 えいたします。

就業規則改訂ほか働き方改革関連法対策をしなければならない立場の経営者・ 管理者の方々は,このメールを素材にして,顧問弁護士先生,顧問社会保険労 務士先生なりに相談されてください。そのための超・基礎知識として,ご活用ください。

 

前置きが長くなりました。  それでは,本論に入ります。

 


「働き方改革関連法」残業の割増賃金率は50%以上について

従来から,月60時間超の残業の割増賃金率は50%以上とされています。  

ただし,現在のところ,そうしなければならないのは,大企業だけで,中小 企業については,「当分の間」,この引上げが猶予されていたのです。

 

ところが,中小企業についても,もうしばらくすると,この猶予がなくなる ことになりました。  しかし,それは,2023年4月1日以降のことです。  

中小企業は,それまでは,50%以上にしなくともよいのです。

 

働き方改革関連法を中途半端に理解していると,2020年4月1日以降と 誤解してしまったり,甚だしくは,既に2019年4月1日からそうなってい ると思い込んでいるかたもいるかもしれません。

どうしても今すぐに50%以上に割増することにして,従業員にたくさんの 賃金を支払いたいというのであれば別ですが,そうではないほとんどの経営者の方はうっかり就業規則を改訂しないでく ださい。

 

くどいですが,時間外労働の上限規制の導入の施行が2020年4月1日で あることと混同し,一緒に就業規則に盛り込んで改訂してしまうおそれがあります。 注意してください。もっとも,そんな思込みも,誤解もないと断言される方もいらっしゃるかも しれません。

しかし,そのような方であっても,うっかり無意識で就業規則を改訂してし まう危険があるのです。 それは,人間には,専門外の面倒なことにはついお手軽な方法をとると習性 があるからです。

日常業務に追われ多忙の経営者・管理者の方々は,つい重大 場面でも,この習性が強く働きます。  就業規則の改訂などという場面では,雛形をそのまま使うということがあり がちです。

 

厚生労働省のHPには,平成31年3月版の「モデル就業規則」が掲載され ています。
このモデル就業規則は,一応,働き方改革関連法の施行を踏まえた 内容とはなっています。

  ⇒ https://bit.ly/2IEEqzh

 

その中には,「(割増賃金)第38条」として,割増賃金率についての条項 例も掲載されています。 ところが,その内容は,中小企業の場合は,2023年4月1日以降に法律 で要求されるものなのです。

 

もし,今それをそこに記載されている,第38条(1)丸3をそのまま引き写 して,就業規則を改訂したら, 時間外労働60時間超の場合でも,現在はまだ,2023年3月31日までは 25%割増しで足りるのに,今すぐに50%増しする義務が発生してしまうの です。

厚生労働省の「モデル就業規則」の中にも,解説部分があるのですが, その49頁に掲載された上記の条項例の解説は,54頁に掲載されています。

が,皆さんそこまでたどってきちんと読みますか。

 

解説は面倒なので読み飛ばし,条項例をそのまま引き写してしまう可能性は大きいです(しかも,猶予期限が明示されず,中途半端な説明で,ここだけ読 んでも役に立たないようです。)。

なお,せっかくの機会ですので,「ついでに」ですが,このモデル就業規則 では,「第38条(1)丸2」として,「35%」とする場合の条項を設けてい ます。

しかし,これは,そうすることを法律で求められているわけではありません。

 

一定の場合において,労使当事者によって定められる場合があるという性質 ので,少なくとも,就業規則で定めておく必要があるものではありません。

 

働き方改革関連法の施行によって変更するのは,それまで行政指導としてさ れていた,残業時間の上限を原則として月45時間・月360時間とし,臨時 的な特別の事情がなければこれを超えることができないことなどが法律で定め られただけです。

これを超えた場合に当然に割増率を高くしなければならない とか,35%にしなければならないと定められているわけではありません。

 

このことは,それ自体一つの重要事項として正確に具体的理解が必要となり ますので,ここでは,話題提供程度に止めておきます。

 

長々と書いて参りましたが,時間外労働の上限規制の導入の施行が2020年4月1日であることと混同 し,一緒に就業規則に盛り込んで改訂してしまうおそれがあります。

 

注意してください。大事なことですので,もう一度、申し上げます。

 

・「中小企業における残業時間の上限規制の適用は2020年4月1日」ですが,

・「*中小企業における月60時間超の残業の割増賃金率引上げの適用は2023年4月1日」 です。

 

 

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前田 尚一(まえだ しょういち)
前田尚一法律事務所 代表弁護士
出身地:北海道岩見沢市。
出身大学:北海道大学法学部。
主な取扱い分野は、交通事故、離婚、相続問題、債務整理・過払いといった個人の法律相談に加え、「労務・労働事件、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」も取り扱っています。
30社以上の企業との顧問契約について、代表自身が直接担当し顧問弁護士サービスを提供。



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