知らぬが仏・・・情報統制の恐怖-羽田空港封鎖の場合 - 札幌の弁護士|前田尚一法律事務所
知らぬが仏・・・情報統制の恐怖-羽田空港封鎖の場合 - 札幌の弁護士|前田尚一法律事務所
震災のような場合,混乱が拡大しないように情報の統制も一定限度必要なのかも知れないが,原発関連の枝野会見を見ていると,情報統制なのか,情報収集能力不足なのかよくわかない。
情報統制については昔こんなのを書いてみたことがあります。(弁護士Mの小咄-BNNプラス北海道365)
『知らぬが仏・・・情報統制の恐怖-羽田空港封鎖の場合』
先日、オフに、女房と東京に行った。土曜日に上京し、その日の内に「ドラリオン」を観て、日曜日の夜に羽田空港から帰ってくる、という強行軍を予定していた。ところが、搭乗を予定していた札幌(千歳)行き航空便が、雪で欠航し、しかも、乗客が殺到したのか午後2時過ぎまで便がとれず、事務所への到着は午後5時過ぎとなってしまった。強行軍が、結果、時間的にはとても優雅な旅になってしまった。
羽田空港での出来事
女房は、羽田空港ターミナルのショッピング街を見るというので、私だけ、セキュリティゲートで手荷物検査を受け、ゲートエリア内に入った。すると、雪のため、札幌行きの前便が到着さえしておらず、乗客で溢れている。そして、私の登場する予定の便は、天候調査中の扱いとされていた。
そうこうしているうちに、ゲートの外にいる女房から、携帯電話が入った。セキュリティゲートを通して貰えないというのだ。ゲート担当者に尋ねても、理由は分からず、そのような指示があったとオウム返しとのこと。
しばらくして、女房から、欠航が決まったという場内アナウンスが入ったという電話連絡が入った。しかし、ゲートエリア内では,依然と調査中の表示のままである。
ゲートエリア内と外では、乗客に与える情報が違うのだ。ピンと来た。ゲートエリア内の顧客に速く情報を与えすぎると、混乱が生じるという考えに違いないとの判断だ。まず、外の顧客を落ち着かせてから、タイミングを見てゲートエリア内の顧客にも、決定済みの情報を開示するという企てだ。どんな反応をするかと思って、担当者に、外では、欠航というアナウンスがされているが、違うのかと尋ねてみた。即刻、センターからそのような説明は受けていないと回答された。
まさに、組織的な情報統制だ。そして、組織的といっても、現場の担当者もグルだというのではなく、もしかすると、大きな仕組みの中で、担当者にも情報を開示せずに、手足のように使う仕組みが出来ているのかもしれない。私が訪ねた担当者は、本当に知らなかったのではあるまいか。身近な場面で言われる「敵をだますなら、まず味方から」という諺が、大々的に実施されている。異常な出来事には、しばしば、大袈裟な陰謀説が説かれる。しかし、日常的なちょっとした場面でも、統制される方は全く気がつかないまま、このようなシステマティックな情報統制が行われているのだ。その時は、事態に怒り、大騒ぎをするが、情報統制されていたことにさえ気づかないまま、事態そのものを忘れてしまう。
たまたま、そのような場面に遭遇し、たまたま内外で女房と携帯でやりとりする状況になったので、気がついたが、日常的に無意識にされている情報統制が、多分大々的に多様な場面でなされているであろうことを思うと、安全といった必要からされているとしても、ちょっと怖い感じがした。
弁護士 前田 尚一(まえだ しょういち)
前田尚一法律事務所 代表
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、弁護士として30年を超える経験、実績を積んできました。
交通事故、離婚、相続、債務整理・過払い金請求といった個人の法律問題に加え、労務・労働事件、クレーム対応、債権回収、契約書ほか企業法務全般も取り扱っています。
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