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医師、医者の離婚問題、トラブルは弁護士にご相談を
医師、医者は離婚率が高いといわれていますが、離婚紛争においては、高収入であることが絡んだ事柄が、面倒な争点となることが多いようです。
ここでは、医師、医者に関わる離婚の特殊性を確認した上で、財産的問題について、医師、医者の場合に特有と思われる事項について説明していきます。
1 医師、医者に関わる離婚の特殊性
医師、医者の離婚率は、他の職業の3倍であるとの調査があるとも言われていますが、これを統計的に実証するデータは見当たらず、真偽のほどは明らかではありません。
医師、医者の離婚率が高いのは、激務によるストレスが大きいとか、勤務先の環境や外部関係において不倫に陥り易いとか、多忙の為、家事や育児への協力が不足し、また、プライドが高いため、夫婦間の対立が生じやすいなどの事情によるとも言われます。
これらの離婚要因についても、統計的に実証するデータが存在せず、医者特有の離婚原因とまでいえるかは断定できません。
ただ、私の経験限りで言えば、ご自身の価値観を決して譲ろうとせず、裁判所でも、「キミにとっても離婚するのが一番良い選択だ!!」と平然と言い切る方、私生活が滅茶苦茶である医師、医者が、勤務先の病院が対処してくれるのをいいことに、弁護士に処理を丸投げしたままという方がおられ、とても手間暇かかる局面が生じたことがあります。
2 離婚に伴う財産分与
(1)離婚に伴う財産分与
離婚する場合、いずれの名義にされていたかを問わず、夫婦が婚姻中に協力して蓄財した実質上の共同財産について、清算分配するための分与を求めることができます。なお、財産分与には、精算だけではなく、離婚後の経済的弱者に対する扶養的要素、離婚を余儀なくされたことについての慰謝料的要素も考慮されることもあります。
財産分与に当たって、実質的共同財産の清算割合は寄与度によって決せられますが、両性の平等に照らして2分の1ルールが重要とされ、実務上もこのルールの下で処理されています。
しかし、形成した財産も、現金、預貯金だけではなく、自宅を始めとする不動産、保険、株式等の有価証券など多岐にわたっており、事実調査が必要で、法的な観点を踏まえた整理が不可欠です。
2分の1にするとはいっても、そもそもどの範囲の財産が分与の対象となるか争いになる場合があります。例えば不動産その他の財産の金額をどのように決めるかも、争いの対象となることが少なくありません。家庭ごとの実情に応じて個別具体的に考えていかなければなりません。
(2)財産分与の際の清算割合
一般に高収入である医師、医者の財産分与について問題となることが多いのは、清算割合(寄与割合)についてです。高額所得者については、現実に寄与度の差が大きい事情を考慮しないと実質的公平とはいえない場合があるからです。
この点について、離婚に伴う財産分与において、高額な収入の基礎となる特殊な技能が、婚姻届出前の個人的な努力によっても形成され、婚姻後もその才能や労力によって多額の財産が形成された場合に、いわゆる2分の1ルールを重視しつつも、上記のような事情を考慮して寄与割合を算定することを是認したとされる裁判例があります(大阪高等裁判所平成26年3月13日判決)。
ここで示された考え方は理にかなっていますが、事案ごとに異なる具体的な事情を個別的に検討しなければならないのが実際です。しかも、裁判官の間でも、抽象的な理論が正しいとしても、実際の事実に対する評価の基準や方法は一様ではないことが現実です。
(3)2分の1ルール
このように離婚することさえ決まれば、2分の1ルールで画一的に財産分与の内容を確定できるというわけでありません。また、2分の1ルールの例外にあたるとしても、その割合が数字上直ちに明らかになるわけでもありません。
財産分与の内容を確定するには、専門的知識が不可欠となりますし、自分の主張を、目の前の担当裁判官の判断に反映させるためのスキルも必要となります。
(4)医療法人の取り扱い
開業医である場合、医療法人が設立されている場合も多く(持分がある社団は、平成19年施行の改正医療法によって新たに設立することができなくなりましたが、当分の間は存続することになっており、医療社団法人全体に占める割合が大きいのです。)、その関係での処理が問題となる場合があります。法人の実体が個人経営の域を出ないとか、夫婦の実質的共有財産を法人名義の資産としているような場合があるからです。
医療法人に関わる問題については、実務上の一般的な取扱い方法は画定しておらず、専門的知識を前提として、自分の主張を合理的に組立てて裁判官の判断に反映させることに注力しなければなりません。
3 婚姻費用・養育費
夫婦が婚姻して同居生活を営むための費用が「婚姻費用」であり、夫婦が離婚した以降の子どもの監護養育に要する費用が「養育費」です。
それぞれについて、夫婦間あるいは元夫婦間で、その分担をしなければなりませんが、この分担が争われた場合、実務上多くの場合、「改定標準算定表」というものが用いられています。
しかし,この表では,義務者の所得が,給与所得の場合は2000万円,事業所得の場合は1567万円までしか記載されておらず,これを超えた場合の取扱いについては確定した方式がなく,争いとなった場合は,ここでも,専門的知識を前提として、自分の主張を合理的に組立てて裁判官の判断に反映させることに注力しなければなりません。
4 弁護士に依頼する必要性
以上のように、医師、医者が当事者である離婚紛争においては、医師、医者が高収入であることが絡んだ事柄が面倒な争点となることが多く,加えて,容易に妥協しない個性の持ち主である場合は,これを踏まえて対応しなければならないこととなります。
繰り返し述べてきたとおり,専門的知識を前提として、自分の主張を合理的に組立てて裁判官の判断に反映させるスキルが必要となり、有利に進めるためには,そういった知識とスキルを備えた弁護士の協力が不可欠です。
当事務所は、これまで様々な種類の訴訟を始めとした法律紛争・トラブルに関わり、依頼者をサポートしてきました。30年を超える豊富な経験と実績を基づいた強みを生かして、法律を必要とする紛争の予防や解決に実践的に取り組んでいます。
既に紛争が起きている方はもちろん、どのようなことでも不安がある方は、是非ご連絡ください。
5 「離婚」に関する弁護士費用(税込)
弁護士が代理人として支援
調停・訴訟・強制執行支援
調停又は訴訟といった裁判所の手続について,裁判所で適切に活動するため弁護士が代理人として支援します。
着手金:22~55万円(税込)
成功報酬金:22~55万円(税込)
※財産分与、慰謝料など財産給付を獲得した場合は(あるいは,請求を受けた離婚給付金の全部又は一部の支払を免れた場合は)、民事事件の成功報酬金の基準に従って加算されます
裁判外全面支援
裁判所の手続による前の段階でも,直接相手と交渉するのが嫌だという場合,状況を的確に把握し,有利に展開させるため,弁護士が代理人として支援します。
着手金:22~33万円(税込)
成功報酬金:22~55万円(税込)
※財産分与、慰謝料など財産給付を獲得した場合は(あるいは,請求を受けた離婚給付金の全部又は一部の支払を免れた場合は)、民事事件の成功報酬金の基準に従って加算されます
弁護士が参謀として後方支援
継続相談・アドバイス後方支援
個別事情を勘案して,3~6か月間で11万円(税込)以内の弁護士費用を設定します。
自分自身で対応することを希望する場合のほか,直ぐに弁護士が登場すると硬直化する恐れがある場合に、状況を的確に把握し,有利に展開させるため,弁護士が参謀として,法律問題や交渉の仕方について継続的にアドバイスをして,後方から支援します。
離婚協議書の作成支援
5万5000円~(税込)
離婚自体は容易に協議で成立する場合であっても,財産分与,慰謝料,養育費等の金額,支払方法をどうするかを定めることに加え,これらの支払を確実にするおかなければ,後日紛争が再燃します。
また,相手と交渉するため,相手方に離婚協議書案を提示するたたき台が必要な場合もあります。
当法律事務所では,案件毎の個別事情に応じて,最終的な離婚協議書が可能な限り有利で実効的となるよう作成・提案いたします。