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弁護士による明け渡し時の「原状回復」の減額交渉 - 札幌の弁護士|前田尚一法律事務所

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弁護士による明け渡し時の「原状回復」の減額交渉

原状回復請求の減額交渉対応

住居やオフィスを賃借し、退去する場合には、賃借人に「原状回復義務」が発生します。しかし、この原状回復義務をめぐるトラブルは非常に多く発生しています。この記事では、「原状回復義務」とはなにか、「原状回復の必要性」、「不当な原状回復費用に対する交渉の必要性」、「減額交渉は弁護士に依頼すべきか」などを解説します。

 1.立ち退きの際の原状回復の必要性

入居している施設の原状回復とは、賃貸借契約が満了し退去するときに、入居時と同じような本来あるべき状態に戻し、貸主に部屋を返還することをいいます。

国土交通省が公表している賃貸住宅の原状回復に関するガイドラインでは、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」とし、その費用は賃借人が負担することとしています。

つまり、入居者が故意や過失、不注意、通常の使用を超えたような使い方をしたことによって建物に損傷を与えた場合には、入居者が原状回復の費用を負担する必要性があることを示しています。

原状回復のための費用を支払わない場合には、債務不履行に基づく損害賠償請求(民法第415条第1項)をされることとなります。

一方、入居者が通常の使い方をしていても生じてしまう通常損耗や、年月を経ることで自然に起こる経年劣化によって生じる傷や汚れなどは、オーナー側が負担することとされています。これは、経年劣化や通常損耗によって必要となる建物の修繕費用については賃料に含まれているものであり、入居者は家賃としてあらかじめオーナーに支払っているものとして考えられているためです。

 2.不当な原状回復費用に対する減額交渉

このように、入居しているテナントから退去する際には原状回復費用を支払う必要がありますが、管理会社によっては不当な原状回復費用の支払いを求めてくる場合があります。賃借人としては、管理会社から求められる原状回復費用を鵜呑みにせず、適切な原状回復費用なのかを確認し、非常に高額な場合や不当な請求だと認識した場合は、減額交渉をすることをお勧めします。

管理会社との交渉をする

一般的に、不当な退去費用請求があると、管理会社と交渉を行いますが簡単に解決することは少ないのが実情です。管理会社は知識のない借主に対して不当な儲けを得ることが目的であり、最初から妥協する場合は不当な退去費用を請求することはありません。

しかし、管理会社には自社の利益を上げるために不当な退去費用を請求をする権利はなく、当然として大家も許可はしていません。一方で、不動産業界は複雑な構造をしていることもあり、借主が管理会社をはじめ貸主との直接交渉を求めても、貸主から依頼された代理人であり、賃貸人と話すことは出来ないと申し出る可能性もあります。

ただ、留意すべきは管理会社は弁護士ではなく、弁護士の独占業務である代理行為を行うことはできませんし、管理会社には裁判を起こす権限はありません。言い換えると、管理会社と無理して交渉する義務はなく、貸主と交渉する必要があると言えます。

具体的には、不動産鑑定士などに相談のうえ、適切な原状回復費用を算定し、弁護士に相談のうえ文書を作成のうえ、管理会社に送付し、請求金額が変わらないようであれば、弁護士に交渉の代理を依頼するのが良いでしょう。。

原状回復費用の減額交渉における適切な解決方法としては、正当な退去費用を文章にして大家・管理会社に送付し、大家と管理会社がどこまで減額に応じるのか、時間をかけて交渉することです。

なお、不当な原状回復費用を求める管理会社は自分たちが不当な退去費用を請求していることを知っており、裁判になったら場合に、どの程度の金額が認められるかもおおよそ理解をしており、大家も不当な管理会社の儲けのために裁判はしないため、不当な請求が認められないことが明確になると、管理会社は諦めるしかなく、不当な原状回復費用の請求を諦めざるを得なくなります。

貸主との交渉をする

多くの貸主は賃借人が不当な退去費用・原状回復を請求されていることを知らない場合がほとんどです。先述の通り、管理会社が減額交渉に応じない場合は貸主に文書で、管理会社から不当な請求をされている事を知らせ、不当な退去費用・原状回復は支払う意思のないことを報告することで、大家がどういう行動に出るのか見守ることも重要な対策となります。

そのような通知があった場合、一般的に大家は請求金額が妥当な金額かを調べ、裁判で負けると思えば妥協することになるでしょう。裁判まで考えていない貸主から連絡が来て妥協することがありますが、管理会社が勝手に不当な請求をしている場合は大家から連絡が来て妥協することもあります。先述の通りですが、管理会社の利益のために不当な退去費用を請求する賃貸人はいません。

裁判調停で解決する

少額訴訟・簡易裁判所の訴訟の手続きは難しくなく、自分(自社)で対応できます。貸主が裁判を希望した場合は裁判になりますが、原状回復費用の減額交渉を求められている原告としては、裁判に対応するのには相当な時間と労力が求められることに加え、裁判を行っても不当な退去費用は認められません。実際に裁判になったことは過去にも数件であり、賃貸人の請求が全額認めれたことはありません。このような不当な原状回復費用の交渉においては、多くの公的機関に相談すると、短期間で正当な回復費用が示されることもあり、裁判を勧められます。調停や裁判外紛争処理制度もありますが、調停は話し合いの場であり、強制力がないため、調停に参加しない貸主もいるため、早期に原状回復費用の交渉を落ち着かせるためには、交渉代理が唯一できる弁護士に依頼して解決することが重要だと言えます。 

3.減額交渉は弁護士にご依頼を

このように原状回復の減額交渉は企業が自社で対応しようとすると、多大な労力が割かれて、トラブルになると経営に支障が出てしまうことになります。弁護士に対応を依頼すると、相手との交渉からトラブル対応など法的トラブルの解決を全面的に任せられるため、経営者は経営に専念することができます。適性賃料、適正な原状回復費用の支払いを行ううえでも弁護士に相談されることをお勧めいたします。

 当事務所は、弁護士歴30年を超える豊富な経験と実績を持つ弁護士前田尚一が代表として、企業が直面する問題の予防・解決に注力しています。これまで、原状回復の減額交渉対応、立退き・明渡し、未払賃料の回収など、不動産問題で多くの経験を積み、実績をあげてまいりました。

入居しているテナントの立ち退きの際に、多額な原状回復費用が求められた場合は、ぜひ経験実績豊富な弁護士にご相談ください。


弁護士 前田 尚一(まえだ しょういち)
前田尚一法律事務所 代表
北海道岩見沢市出身。北海道札幌北高等学校・北海道大学法学部卒。
さまざまな訴訟に取り組むとともに、顧問弁護士としては直接自分自身で常時30社を超える企業を担当しながら、弁護士として30年を超える経験、実績を積んできました。
交通事故、離婚、相続、債務整理・過払い金請求といった個人の法律問題に加え、労務・労働事件、クレーム対応、債権回収、契約書ほか企業法務全般も取り扱っています。



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