クレームは企業の営業活動そのものに関わるものであり、クレーム対応のポイント(勘所)を押さえておくことは不可欠ですが、クレームによって従業員の離職に繋がるのも現実であり、クレーム対応のポイント(勘所)は、このことを踏まえたものでなければなりません(もちろん、現に個別具体的なクレーム、クレーマートラブルが発生している場合は、手遅れにならないように、直ちにご相談ください。)。
さて、クレーム対応の定番は、今も昔も現場対応者のスキルアップとマニュアル化です。
しかし、モンスタークレーマーかどうかを区別し、適切に対応することが不可欠といわれ、次のことが鉄則だと言われてきましたが、このとおり対応するのは、到底無理というのが現実です。
〇クレーマーのクレームの内容を明確にする、
〇関連する事実関係を正確に確認して確定する、
〇クレーム内容に客観的な法律評価をして、法的問題を含むものなのかどうかを確定し、その性質に応じ、対応策を確定する、
〇クレーマーの話は時間をかけてよく聞き、人格を損ねるような対応をしないことはもちろん、怒りが増長するような対処は避ける、
〇意見は否定せず要求は聞かない……、
クレーム処理の鉄則と言われるものも、接客のプロと呼ばれる特殊な能力を備えた人々の職人芸であったり、法的手段という最終的武器を備えた弁護士らの上から目線の理屈がほとんどです。
社会生活での不満を背景に、弱い者を攻撃するという潮流の中、「自分は正しい」と思い込んで理不尽な要求をするモンスタークレーマーが激増しています。
消費者を保護する法制度が拡充し続けているのも大きな要因であり、それを受けながら存続・発展を考える企業としては、モンスタークレーマー対策を含めたクレーム対策は、喫緊の最重要テーマでしょう。
しかし、通常業務をこなすことに四苦八苦している現場担当者に、それを求めるのは非現実的です。
近時、〝モンスター〟と対峙する担当者は、世代的に耐性に弱い上、仕事として顧客対応まで求められるのは見合わないと考える層だと思います。
また「お客さまは神様だ」と上司や先輩に叱責されながらクレーム対応してきた管理者であっても、人手不足の上、採用してもすぐに退職してしまうことが多い現状では「お客さんがおかしい」と新人の慰めに終始するだけではないでしょうか。
広くクレーマー対策は、顧客、取引先との信頼を獲得し、良好な関係を維持していく一方、労働者が安全に働ける環境整備に配慮する必要があります。つまりは、生産性の阻害要因を排除することであり「働き方改革」の目指す「生産性向上」を実現させることです。
まずは現場担当者に特殊な職人芸を求めることはやめましょう。顧客とトラブルになる要素を極力減らす状況をつくり、担当者にはその限りでのスキルを高めてもらう。トラブルになりそうだったら、すぐ次の段階へ移行して対応する、そういった仕組みが不可欠です。
当事務所では、個別具体的なクレーム、クレーマートラブル解決のためのご依頼を受けています。
また、モンスタークレーマー対策を踏まえたクレーム処理の仕組みづくりについてアドバイスもしています。
関心を持たれましたら、ぜひご相談ください。
ところで、毎日新聞に次の見出しの記事がありました。
「カスハラ」労災10年で78人、24人が自殺。悪質クレーム対策急務
「カスハラ」とは、カスタマーハラスメントの略であり、顧客や取引先からのクレームによるハラスメントのことです。セクハラ、パワハラ同様、事業主は労働者の安全に配慮しなければなりません。
カスハラについての詳細は、「カスハラに対する企業対応の在り方 -悪質なクレーマーとの対峙」をどうぞ
また、「消費者トラブル・クレーマー対策」については、こちらをどうぞ。
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