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期限の利益喪失条項とは:札幌の弁護士が対応・心構えを相談・アドバイス

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コロナショックでよりシビアに。借りたものは返せ!

 

まずは、「概略」をどうぞ。

 “うっかり”では
 許されないのが法律

 新型コロナウイルスが世界的に流行し、不安な日々が続いています。漠然とした不安にさいなまれ、やるべきことの優先順位を低くし、自分でコントロールできることでも疎かにしてしまうことも少なくありません。
 ただ〝うっかり〟では済まないことが幾つもあるのが現実です。
 「分割払いで契約していたのに、全額払え、と請求が来た」
 「分割払い中だが、今月は苦しいので来月2か月分払おう」
 平常時でもしばしば見られる事態ですが、コロナショックの今、まさに増加しそうな予感です。
 「これまできちんと払っていたのだから、ちょっと待ってくれても」といった気持もわかります。 
 しかし、それを許さないのが法律。
 前述の2人の声の主は、とても重大な局面にいるのです。

 

 約束を守らなければ
 一括返済を迫られる?

 借りたものは返す。本来は一括して直ぐに返すというのが原則ですが、社会生活上そうもいかないので、分割払いとして期限(支払期日)ごとに分割金を支払っていく約束(契約)をするわけです。

 

 貸す側、借りる側のそれぞれに思惑・目論みがあります。返す側は、この約束によって期限が来るまでは返済しなくてよいという利益が生じます。この利益のことを「期限の利益」といいます。

 

 借りる側が「絶対、約束を守ります!」と言うからこそ貸す側は信用し、きちんと約束どおり支払うという前提で利益をくれるわけで、約束を守らなければ「分割は中止」と言いたくもなります。
 こうして残金の期限を全てチャラにされ、すべて一括で支払わなければならなくなる状態が「期限の利益喪失」です。せっかくの優遇措置(期限の利益)が奪われる(喪失)ことになるのです。
 貸す側は、分割の約束をする際、あらかじめ分割ができなくなる場合のことを決めておく必要があります。これを「期限の利益喪失条項」と呼びます。

 

 ある消費者金融の契約書で定められている実例です。

 

 第7条(期限の利益の喪失)
 本契約成立後、債務者または連帯保証人について次の各号の事由が1つでも生じた場合には、債権者からの通知催告がなくとも債権者に対する一切の債務について当然に弁済期限の利益を失い、直ちに債務の全額を支払います。
 ① 支払期日までに利息、または元金の支払いを怠ったとき
 ② (以下省略)

 

 つまり、1円足りなくても、1分遅れてもダメ、という意味です。
 サラ金に限らず、銀行やクレジット会社から借入れされている方、カードをつくってショッピングで分割払いされている方。必ず契約書には、期限の利益喪失条項が入っています。
 お気を付けください。
 より詳しく知りたい方は、次の「詳細版」をどうぞ。

 

「詳細」はこちらから。 

「分割払いで契約していたのに、突然、全額払え、という請求が来た。おかしい。」
「分割払いで契約していたが、今月は苦しいので、来月2か月分まとめて払えば、問題はないだろう。」

 ときどき、そんな声が聞こえてきます。

 確かに、「これまできちんと払っていたのだから、ちょっとぐらい待ってくれたってよいだろう」といった気持も分からないではありません。

 しかし、それを許さないのが法律。二つの声の主は、とても重大な局面におられるのです。

 このことを、分割払いの場合でご説明しましょう。

 まずは、言葉の意味を徹底理解を!
 -「期限の利益」⇒「期限の利益喪失」⇒「期限の利益喪失条項」の流れ

 借りたものは返す。本来は一括して直ぐに返すというのが原則です。

 ところが、社会生活上、そうもいかないので、それぞれ思惑を持って、相手方と話し合い、分割にしてもらって、分割金の期限(支払期日)ごとに支払っていくという約束(「契約」)をするわけです。
 つまり、この約束をすることによって、期限が来るまでは返済しなくてよいという利益が生じることになります。この利益のことを、期限の利益といいます。

 

 でも、相手方としては、こちらが、「絶対、約束を守ります。俺を信じてくれ!!」と言うからこそ信用し、実際にきちんと約束どおり支払うだろうという前提でそのような利益をくれるわけで、約束を守らないような状態になれば、「分割、や~めた。」と言いたくもなります。こうして、残りの分(残金)についての期限を全てチャラにされてすべて一括で支払わなければならなくなる状態が、期限の利益喪失です。
 せっかくの優遇措置(「期限の利益」)が奪われてしまう(「喪失」)ことになるのです。
 ただ、相手方としては、あらかじめ分割の約束をする際に、分割ができなくなる場合のことを決めておかなければなりません。このことを決めた条項を、期限の利益喪失条項と呼びます。

 

 裁判所での和解の場合の条項例(懈怠約款)

 分かりやすい例として、裁判所で分割払の約束(「和解」)をした事例の条項の実例を紹介します(裁判所では、懈怠約款と呼ばれます。)。

 

「3 被告が前項の分割金の支払を1回でも怠ったときは、当然に同項の期限の利益を失い、被告は、原告に対し、第1項の金員から既払金を控除した残金及びこれに対する期限の利益を失った日の翌日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を直ちに支払う。」

 

 約束の支払期日に約束どおりの金額を支払えないこと自体が反則であるわけですから、このように期限の利益を喪失させ」一括払いになることに加えて、直ぐに一括して払えなければ、遅延損害金と呼ばれるペナルティーも払わなくてはならないよう定めるのが通例です。もっとも、貸主側から有利な特約を盛り込むという検討をする場合、一つの場面で一見矛盾する、別の立場での大局的視点が必要となります。 

 

 ちなみに、分割払の場合の期限の利益喪失条項は、いろいろな場合があり、裁判所の和解ですと、程度に応じて、次のような記載方法があります。
 ア 「2回(2回以上)怠ったとき」
 イ 「2回分(2回分以上)怠ったとき」
 ウ 「引き続き2回以上怠ったとき」
 エ 「怠り、その額が2回分以上に達したとき」
 オ 「怠り、その額が〇〇円に達したとき」
 カ 「2回以上怠り、かつ、その額が〇〇年に達したとき」

 

 分割金の支払を怠った場合以外の期限の利益喪失事由

 以上の説明は、分割金の支払を怠った例ですが、もともと一括払いである場合でも、すぐに払わなくてもよく、支払期日を定めた場合には、期限の利益があることになります。

 

 また、期限の利益を喪失させる事由は、支払を怠った場合ばかりではありません。
 例えば、民法では、次のように定められています(これらは、法律で定められていますので、契約書で定めなくとも、当然に適用されることになります。)。

 

第137条(期限の利益の喪失)
 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。
一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。
三 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。

 

 支払う側・借りた側の対応・心構えのまとめ

 以上の説明にかかわらず、世間的には、つい、

「分割払いで契約していたのに、突然、全額払え、という請求が来た。おかしい。」
「分割払いで契約していたが、今月は苦しいので、来月2か月分まとめて払えば、問題はないだろう。」
などと、自分本位で考えてしまうものです。 

 

 一つ目の例のように、一括払いの請求がきたということになれば、おそらく期限の利益喪失条項に反して期限の利益を喪失したのでしょう。思い当たる節があるはずです。
 また、二つ目のように、安易に考えると、一つ目の事態と同様の窮境に陥ります。相手方は、「期限の利益喪失条項」をおいて、損得勘定のために法律的武装をしているのです。

 

  理屈の流れだけはご理解いただけたかと思います。しかし、実際は、実際の適用場面の複雑さ、規定・約款の難解さのため、その場に適切な対処はなかなか難しいものです。

 まずは、専門家にご相談ください。

札幌弁護士

 補足:アイフルと北洋銀行の難解な期限の利益喪失条項 [附]サラ金の命取り

 以上で一応の解説は終わりましたので、以下は読まないでください。

 

 が、もう少し詳しく知りたいという方のために、消費者金融(サラ金)のアイフル株式会社と札幌市に本店を置く第二地方銀行である株式会社北洋銀行について、期限の喪失条項の実例をご紹介いたします。興味のある方は、お進みください。

 まず、アイフルが用いていた自家製の定型契約書での、期限の利益喪失条項を見てみましょう。
 「金銭消費貸借基本契約書兼告知書」の《契約条項》の中に定められている条項です(ちなみに、この契約書が用いられた取引の契約日は、平成15年2月14日です。)

 

第7条(期限の利益の喪失)
本契約成立後、債務者または連帯保証人について次の各号の事由が一つでも生じた場合には、債権者からの通知催告がなくとも債権者に対する一切の債務について当然に弁済期限の利益を失い、直ちに債務の全額を支払います。
(1)支払期日までに利息、または元金の支払いを怠ったとき。
(2)他の債務のため強制執行、仮差押え・仮処分・破産・和議開始・競売・滞納処分などを受けたとき。
(3)債務者及び連帯保証人の振出し若しくは引受けに係る小切手・手形の不渡りがあったとき。
(4)本契約の際に作成した本契約書・申込みカード等に虚偽の記載があったときおよび虚偽の申告をしたとき。
(5)住所や勤務先の変更または長期欠勤・休職・退職もしくは解雇されたり転業・廃業したのに速やかに債権者へ届出がなかったとき。
(6)合併によらず解散したとき
(7)監督官公署から営業許可の取り消しを受け、また営業を停止あるいは廃止したとき。
(8)債権者に対する本契約以外の債務を期限までに支払わなかったとき
(9)その他本契約の各条項に違反したとき。

 ところで、マニアックは話になりますが、過払返還請求事件で、この期限の利益喪失条項の存在が、サラ金側が命取りとなりました。過払返還請求事件を一気に活発化させる原因となった平成18年1月13日最高裁判決は、貸金業法43条1項の「みなし弁済」規定を、ほぼ空文化する判決を下しましたが、その理屈付けとして、「期限の利益喪失条項」の存在を持ち出したのです(くわしくは こちら
 なお、この事件は、株式会社シティズという会社の事例ですが、この会社は、判決の時点で、アイフルの子会社であり、本判決後、アイフルに吸収合併されました。

 

 次に、北洋銀行が、「第5条(期限の利益の喪失)」です。北洋銀行は、この条項について、次のように解説しています。

 

 

「第5条は、お客様のお借入について、返済期限の前であっても直ちにお借入の全額をお支払いいただかなければならない場合について定めた条項です。」

 

 そして、

 

「□期限の利益の喪失とは?
お客様のお借入には返済期限が定められています。この期限によってお客様は期限が到来するまでは返済義務が生じないという利益が生じます。この「期限の利益」によって、お客様は借入した資金を期限までの間、運用することができます。したがって、本約定書に定めている「期限の利益の喪失」とは、お客様が「期限の利益」を失うことを意味します。「期限の利益」が失われた場合は、お借入の全額を直ちにご返済いただくこととなります。」

 

と説明しています。
 しかし、次の条項は、とても詳細で、一般の方には、かなり難解なもので、取引開始の際に理解しておられる方はほとんどいないであろうと推察します。

 

第5条(期限の利益の喪失)
①甲について次の各号の事由が一つでも生じた場合には、乙からの通知催告等がなくても、甲は乙に対するいっさいの債務について当然期限の利益を失い、直ちに債務を弁済するものとします。
1.破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始もしくは特別清算開始の申立があったとき。
2.手形交換所または電子債権記録機関の取引停止処分を受けたとき。
3.前2号の他、甲が債務整理に関して裁判所の関与する手続を申立てたとき、もしくは弁護士等へ債務整理を委任したとき、または自ら営業の廃止を表明したとき等、支払を停止したと認められる事実が発生したとき。
4.甲または甲の保証人の預金その他の乙に対する債権について仮差押、保全差押または差押の命令、通知が発送されたとき。なお、保証人の預金その他の乙に対する債権の差押等については、乙の承認する担保を差し入れる等の旨を甲が遅滞なく乙に書面にて通知したことにより、乙が従来通り期限の利益を認める場合には、乙は書面にてその旨を甲に通知するものとします。ただし、期限の利益を喪失したことに基づき既になされた乙の行為については、その効力を妨げないものとします。
②甲について次の各号の事由が一つでも生じた場合には、乙からの請求によって、甲は乙に対するいっさいの債務について期限の利益を失い、直ちに債務を弁済するものとします。
1.甲が乙に対する債務の一部でも履行を遅滞したとき。
2.担保の目的物について差押、または競売手続の開始があったとき。
3.甲が乙との取引約定に違反したとき、または第14条に基づく乙への報告もしくは乙へ提出する財務状況を示す書類に重大な虚偽の内容がある等の事由が生じたとき。
4.甲の責めに帰すべき事由によって、乙に甲の所在が不明となったとき。
5.甲が暴力団員等もしくは第15条第1項各号のいずれかに該当し、もしくは同条第2項各号のいずれかに該当する行為をし、または同条第1項の規定に基づく表明・確約に関して虚偽の申告をしたことが判明したとき。
6.甲が振り出した手形の不渡りがあり、かつ、甲が発生記録をした電子記録債権が支払不能となったとき(不渡りおよび支払不能が6か月以内に生じた場合に限る)。
7.保証人が前項または本項の各号の一つにでも該当したとき。
8.前各号に準じるような債権保全を必要とする相当の事由が生じたと客観的に認められるとき。
③前項の場合において、甲が住所変更の届け出を怠る、または甲が乙からの請求を受領しないなど甲の責めに帰すべき事由により、請求が延着しもしくは到達しなかった場合には、通常到達すべき時に期限の利益が失われたものとします。
④第2項第5号の規定の適用により、甲または保証人に損害が生じた場合にも、乙になんらの請求をしません。また、乙に損害が生じたときは、甲または保証人がその責任を負います。


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